千夜一夜物語 2.1.2 亭主とオウムの話 バートン版ある男が美しい妻をもらった。彼は彼女を大変愛していたので、できるかぎり、妻から離れないようにしていた。あ る日のこと、彼は、重要な仕事があり、彼女を置いて旅に出なければならなくなった、そこで、彼はありとあらゆる種類 の鳥が売られている市場へ行き、一羽のオウムを買った。このオウムは上手に話をするだけでなく、自分の前でなされた ことは、全て、話すことができた。 亭主は、オウムを籠に入れ家に連れ帰ると、妻に、留守中、この鳥を自分の部屋に置いて、よく面倒をみてくれるよ
うにと頼んだ。こうして彼は出掛けて行った。 彼女は、奴隷のだれかが、言いつけたのに違いないと思った。しかし彼女たちは、それはオウムが喋ったのだと言っ た。そこで彼女はこのオウムに仕返しをすることにした。 夫が一日家を空けたとき、一人の奴隷には、鳥篭の下で手臼を挽くように命じ、二人目には、篭の上から水を撒くよ うに命じ、三番目には、オウムの目の前で、鏡を右に左に動かし、ロウソクの炎をちらつかせるようにと命じた。奴隷た ちは、その夜一晩中、言われたことを遺漏なく行った。 翌日夫が帰ってきて、オウムに見たことを尋ねた。するとオウムはこう答えた。 昨夜は、雨も雷も無かったことを、彼は知っていたので、このオウムは真実を話していないと信じ込み、オウムを篭
から取り出すと、激しく床に叩きつけて殺してしまった。 (日本語訳 Keigo Hayami) Type 1422 オウムは、妻の浮気を主人に報告できない。 |
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