女房と酔いどれ亭主

 亭主の酒飲みに手を焼いていた女房が、ある時、亭主が酔いつぶれているところを、墓の中へと運び入れた。そして 頃合いを見計らい、彼女は墓の扉をノックした。
「誰だ?」酔っぱらいの亭主が言った。
「死人に食べ物を運んで来た者です」
  彼女がこう答えると、亭主が言った。
「食い物よりも酒を持ってきてくれ。俺の知り合いのくせに、酒を持ってこないとはどういう了見だ」
「ああ、なんて事でしょう」女が言った。「せっかくうまく、改心させられると思ったのに、あんたと来たら、許のまん まで、何をやっても無駄なんだね」
  
教訓
  悪い習慣が身につくと、不自然なことが当然のこととなる。そして、悪いところを直そうとするよりも、身を滅ぼし た方がよいと考えるのだ。

(日本語訳 Keigo Hayami)


キリシタン版 エソポ物語 女人と、大酒を飲む夫の事。

Type835A* 炭鉱の中の酔っ払い。TMIJ1323 酒を持ってこい。
Cf.Type1313A* 開いた墓の中。

デカメロン 三日目第八話 
古典落語 らくだ

山の老人

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